・当サイトではアフィリエイト広告を利用しています。

次亜塩素酸水効果なしは間違い?NITEの情報を正確に捉えよう

NITEの次亜塩素酸水に対する評価

簡単に説明したこの次亜塩素酸水ですが、今回の話題の発端は経済産業省所轄の製品評価技術基盤機構(NITE)の発表です。

独立行政法人製品評価技術基盤機構NITE

引用:製品評価技術基盤機構

(追記)電解型と非電解型は35ppm以上、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは100ppm以上で効果あり

6月26日にNITEの最終報告があり、次亜塩素酸水は一定の条件で効果があると判断されました。

【検証結果まとめ】

国立感染症研究所での検証試験(反応時間20秒~5分)において、35~54ppm (pH2.4~5.9)の次亜塩素酸水(電解型)に99.9%以上の感染価の減少が見られた。一方、19~26ppm (pH2.4~4.2)のサンプルでは感染価減少は99.9%未満であった。
北里大学での検証試験において、50ppm (pH5.0, 6.0)の次亜塩素酸水(電解型)は「不活化効果なし」であった(反応時間1分及び5分)。
帯広畜産大学での検証試験(反応時間20秒、1分、5分)において、32ppm(pH5.3) 及び56ppm(pH2.5, pH5.2)の次亜塩素酸水(電解型)に99.99%以上の感染価の減少が認められた。
帯広畜産大学の検証試験(反応時間20秒、1分、5分)において、50, 100, 150, 200ppm前後(pH5.2~6.2)の4種の次亜塩素酸水(非電解型)に99.99%以上の感染価の減少が認められた。
鳥取大学の検証試験(反応時間20秒、1分)において、100ppm及び200ppm(pH6.0)の次亜塩素酸水(非電解型)に99.9%以上の感染価の減少が認められた。
QTECの検証試験(反応時間20秒、1分)において、51ppm(pH6.0)の次亜塩素酸水(非電解型)に99.99%以上の感染価の減少が認められた。一方、27ppm(pH6.0)の次亜塩素酸水(非電解型)の感染価減少は99.9%未満であった。

新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価(最終報告)|NITE

さまざまな試験結果から、電解型と非電解型(混合型や粉末型、イオン交換法など)は35ppm以上、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは100ppm以上で十分な効果が期待できるとのことです。

ただ、経産省は使い方として「汚れをあらかじめ落としておく」(元の汚れが酷い場合は200ppm以上の溶液が望ましい)、「ヒタヒタになるくらい十分な量を使用する」「20秒以上おいて拭き取る」などを推奨し、非常に使いにくいイメージを抱かせています。

これらの使用方法について少々疑問を感じたので、次亜塩素酸水の試験結果(北海道大学人獣感染症リサーチセンター)を詳細に確認してみると、時間に関しては数十秒ではなく「瞬時」に不活化(検出不可能:99.999%以上)されており、使用量に関しても、供試水:ウイルス液の割合を9:1と19:1の2例でテストし両方とも同じ結果が確認されています。

試験を行ったのは高田礼人先生。プロフェッショナル仕事の流儀にも取り上げられたウイルス学の権威です(第250回 驚異のエボラ、英知をかけて挑む ウイルス学者・高田礼人)。

この試験結果を見れば低濃度の50ppmでこれだけの効果が確認されているので100ppmや200ppmの高濃度であれば少量かつ瞬時にウイルスの不活化が可能と考えるのが自然です。

混合比率は同じで接触時間1分以上で不活化が確認された花王と北里大学の試験(主にエタノール、界面活性剤成分を含有し、新型コロナウイルスの消毒効果が期待できる市販製品)よりも良好な結果が出ていると思うので非常に疑問ですね。

100万コピーウイルスRNA/μLのウイルス液3μLを27μLの試験対象液と混合し、常温で1分
間または10分間接触させた。


エタノールは、50%以上の濃度であれば、接触時間1分間で十分なウイルス不活性化が可能だ
と考えられた。

医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)不活化効果について

今回検証を行ったNITE検討委員会の委員長が日本環境感染学会副理事長の松本哲哉氏である事や委員の中に一般社団法人日本電解水協会がいる事も影響しているという声も聞きます。

確かに値段も安く安定供給が可能な容器詰めの次亜塩素酸水が流通すれば、アルコール消毒剤をつくっている企業や高額な生成機を販売している日本電解水協会所属企業にとっては面白くない話ですから。

調べてみると賛助会員一覧にアルコール消毒剤を販売しているメーカーが多数確認できました。なかなか複雑な事情がありそうですね。

>一般社団法人日本環境感染学会|賛助会員一覧

効果があったのはpH5.0、ACC50ppmの1例

この発表を読んでみると、「電気分解法」によって生成されたpH2.5、3.0、4.0、5.0、6.0の次亜塩素酸水をACC(有効塩素濃度)25ppmと50ppmで試験した結果、効果が確認されたのは国立感染症研究所試験のpH5.0、ACC50(厳密には49)ppmのみだったという内容。ちなみに効果が確認された1例に関しては「20秒で感染力を1000分の1まで減少させた」とありました。

個人的には、市販品として販売されている容器詰めの次亜塩素酸水のACCは200ppm程度のものがほとんどなので、試験の趣旨である「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価に関する検討」の対象選定の1基準である「一般の方々が入手しやすく(安定的な供給が見込める)」を重視していない点には疑問が残ります。

これに関しては、検討委員会に以前から電気分解タイプの次亜塩素酸水以外は認めないと否定的な発信をしている一般社団法人日本電解水協会の専務理事が参加しているので、生成方法やpHが自分たちの販売している「食品添加物」の次亜塩素酸水の枠から外れるサンプルを試験する事に抵抗があるのでしょう。

新型コロナウイルスに対する代替消毒法の有効性評価に関する検討委員会 一般社団法人日本電解水協会専務理事

引用:製品評価技術基盤機構

効果なしではなく継続中

兎にも角にも結果としては1例しか効果が認められなかった次亜塩素酸水の試験。このNITEの発表をもってメディアは一斉に「次亜塩素酸水に効果なし」と報道しました。

元々次亜塩素酸水に対する知識を持ち合わせておらず、知り合いに良いと聞かされたので使っていたというような層は大きな衝撃を受けたと思います。

ですが、メディア関連が最初に報じたように効果なしと決めつけられたわけではなく、現在も継続して試験は行われています。

危険性について報道された「ファクトシート」についても経産省やNITEとして何らかの見解を示すものではないとの事。

危険性指摘の急先鋒は京都女子大学現代社会学部現代社会学科の元教授・小波秀雄氏。同氏については文系女子学生に対するプログラミング教育に傾注し、Rubyをその教育の中核に据えて教育成果を上げた事などが主な実績として紹介されていました。

個人的には次亜塩素酸水の主成分である次亜塩素酸に新型コロナを不活化する力がないとは到底思えないので、捨てろという意見は異常だと思います…。

Q:「次亜塩素酸水」は、新型コロナウイルスに効果がないのですか?

A:「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません。

現在、効果の検証作業を、関係機関の協力を得て進めているところです。塩素濃度や酸性度(pH)等の条件によって効果が変化しうるため、評価にあたっては、様々な条件での検証を行う必要があります。
今までのところ、新型コロナウイルスに対して一定の効果を示すデータも出ていますが※、2020年5月29日現在、全体として有効性評価を行う上で十分なデータが集まっていないことから、委員会において、引き続き検証試験を実施することとされました。今後、早期に結論を得ることを目標に、検証作業を続けてまいります。※塩素濃度49ppm(pH5.0)で、20秒で感染力を1000分の1まで減少させた例がありました。


Q:「次亜塩素酸水」で手指消毒を行ってもよいのですか?

A:今回の有効性評価は、アルコール消毒液の代替となる身の回りの物品の消毒方法の評価が目的であり、手指消毒は評価対象となっておりません。
「次亜塩素酸水」を手指や皮膚の消毒で利用することは安全面から控えるよう弊機構が公表したとする報道が一部にありますが、手指、皮膚での利用の是非について何らかの見解を示した事実はございません。
「次亜塩素酸水」の利用に当たっては、メーカー等の提供する情報等をよく吟味し、ご判断をいただければと存じます。


Q:「次亜塩素酸水」の空間噴霧は行ってもよいのですか?

A:今回の有効性評価は、アルコール消毒液の代替となる身の回りの物品の消毒方法の評価が目的であり、空間噴霧は評価対象となっておりません。
「次亜塩素酸水」の噴霧での利用は安全面から控えるよう弊機構が公表したとする報道が一部にありますが、噴霧利用の是非について何らかの見解を示した事実はございません。
「次亜塩素酸水」を消毒目的で有人空間に噴霧することは、その有効性、安全性ともに、メーカー等が工夫して評価を行っていますが、確立された評価方法は定まっていないと承知しています。メーカーが提供する情報、経済産業省サイトの「ファクトシート」などをよく吟味し、ご判断をいただければと存じます。


Q:「ファクトシート」は、経産省・NITEの見解として出されたものですか。

A:本資料は、新型コロナウイルスの消毒において期待される「次亜塩素酸水」について、その販売実態や空間噴霧をめぐる事実関係を、現時点までに得られた情報に基づいて経済産業省がまとめたものです。経産省やNITEとして何らかの見解を示すものではありません。今後、新たな知見が得られましたら随時修正が行われます。 

NITEが行う新型コロナウイルスに対する消毒方法の有効性評価について~よくあるお問い合わせ 

今回のメディアの報じ方はミスリードを招く(すでに招いた)可能性があったため、NITE側で急ぎ詳細な説明ページをつくったと思われます。何も確定していない状況で製品を否定する事は多くの企業を倒産させる事になるので初めから慎重に発表してもらいたいものですね。

NITEの結果まとめと個人的な感想

以上から、現状次亜塩素酸水の新型コロナに対する効果(経産省調査)で分かっているのは「電解タイプで50ppmまでの多数のサンプルで試験したが、効果が確認できたのはpH5.0、次亜塩素酸濃度50ppmの1サンプル」という事になります。

新型コロナがプラス鎖一本鎖のRNAをウイルスゲノムとして有するエンベロープウイルスで、厚生労働省がモノの除菌対策として次亜塩素酸ナトリウムを推奨している以上、次亜塩素酸系の除菌剤に効果がないという事はまず考えられません。問題はACCとpHだけではないかというのが私の考えです(生成方法も関係はない)。

 

前述の通り、日本電解水協会員が検討委員会に在籍している以上、食品添加物の枠から外れる製造方法や使い方、濃度(微酸性次亜塩素酸水でMAX80ppm)で試験する事は考えにくいですが、現在流通している商品は200ppm以上のものも多数存在しているので、自分たちの利益・利権よりも国民の事を第一に考えて試してもらいたいものです。

メディア関連も経済産業省の発表を正確に伝える事よりもインパクトがあって多くの人に読まれる記事を書くという姿勢を改めるべきでしょう。

確かに、コロナ禍に乗じて国内外問わず得体の知れない次亜塩素酸水メーカーが多数現われ、「コロナ対策」や「コロナ消毒」「手指の消毒」などといった薬機法違反や景品表示法の優良誤認表示にあたる売り文句で商品を販売している例はあります。製造日すらも記載されていない商品も存在しているという話も聞きます。
※数が多すぎてブロックできないので放置していますが、当サイトのGoogle広告に表示されているような次亜塩素酸水はその傾向が強いのでおすすめできません。

それらについては過大広告をせずに何年も前から次亜塩素酸水を販売しているところから買う、保存状況が分からないような実店舗置きの商品を買わないなどで対応すれば問題ありません。

次亜塩素酸水の品質チェックや次亜塩素酸ナトリウムとの判別には試験剤の購入を
品薄状態が続くアルコールの代替として、新型コロナウイルスの不活化に期待されていた「次亜塩素酸水」。 多くの場所で使用され、個人的には日本での...

食品添加物の次亜塩素酸水も一般に出回っている次亜塩素酸水も昨日今日誕生したわけではなく、長年除菌や消臭の面で多くの人々の生活の質を向上させてきた製品です。

ペットや介護の現場での強力な消臭力やノロを筆頭に様々なウイルスや細菌に効果がある事も実証されており、それは私も含めこれまで愛用してきた人々が一番よく分かっている事でしょう。

とはいえ、次亜塩素酸水に対する知識がない人は誤った使い方をしたり、自分が思っていたものと違うと感じる事もあると思うので、よく分からなくて不安な人は買わない、知識があって特性がしっかり分かっており、効果を実感している人は買うというスタイルでいいのではないかと思います。

世の中のほとんどの事象は0か100ではありません。良い点もあれば悪い点もあるという事を忘れずに行動したいものです。

参照

>独立行政法人 製品評価技術基盤機構

>厚生労働省