植物性消臭剤は、その名のとおり植物由来の成分が主成分の消臭剤の事です。
安価な市販品の多くが植物性のものなので、効果が薄い種類の消臭剤と思われがちですが、同じ植物性のものでもピンからキリまであります。
このページではこの植物性消臭剤について簡単に説明したいと思います。
マスキングとベアリング
一口に植物性消臭剤と言っても、驚くほどたくさんの種類があり、商品によって消臭メカニズムもさまざまです。
多いのは”マスキング”と”ベアリング”という方式。これらは感覚的消臭法とも呼ばれます。
マスキング方式は簡単に言うと強い匂いを悪臭に被せてごまかす方法で、消臭剤というよりも芳香剤という呼ばれ方をしているものが多いです。
ただし、マスキング方式の芳香成分の匂い自体が苦手な人も多い上に、悪臭成分自体を分解しているわけではないのですぐに臭いが戻ってきます。
ベアリング方式については少しややこしいのですが、簡単に説明すると悪臭の元になる成分と消臭剤の成分を合体させて良い匂いに変えるという技術です。
しかしながら、良い匂いの定義は人によって異なる上にマスキング方式同様悪臭成分自体を分解消臭しているわけではないので効果は限定的です。
植物性消臭剤の市販品のほとんどは上に挙げたマスキング方式やベアリング方式の商品ですが、個人的にはあまりおすすめしません。
私のおすすめの植物性消臭剤は”フィトンチッド”という植物(特に針葉樹に多い)が発散する物質を使った消臭剤です。
フィトンチッド
1930年頃、ベラルーシクルィチャウ生まれの生物学者B.P.トーキン博士は、植物を傷つけるとその周囲に存在する細菌などが死ぬという不思議な現象を発見しました。
この現象は傷つけられた植物が何らかの揮発性物質を放出した事で起こったと考えた博士は、植物を意味する「フィトン」と殺すという意味の「チッド」から「フィトンチッド」という造語を作りました。
フィトンチッドの本体は植物の精油(植物が産出する揮発性の油)に含まれる殺菌力を持つさまざまな成分(テルペノイドなど)の事と考えられています。
このフィトンチッドの効果を十分に発揮させる為、高価な植物性消臭剤は何十~何百という種類の植物エキスを配合してさまざまな悪臭に対応できる仕様になっています。
フィトンチッドのリラックス効果
フィトンチッドの殺菌効果は有名ですが、フィトンチッドには人に癒しや安らぎを与えリラックスさせる効果もあるとされています。
具体的にはフィトンチッド濃度の高い森林部では都市部と比べて唾液中のストレスホルモンが減ったり、リラックス時に高まる副交感神経活動が昂進するというデータがあります。
さらに数日の森林浴によって抗腫瘍活性や抗体産生系に対する調節作用を持つナチュラルキラー細胞活性が高まる事も分かっています。
植物性消臭剤の特徴
高価な植物性消臭剤は高い安全性を全面に押し出しているものが多い印象です。植物から抽出した天然成分を使用しているからだと思われます。
安全性が高いというのは間違いありませんが、単純に「天然成分=安全」というわけではなく、植物でも人間や動物に害をもたらすものも当然ながら存在します。
通常の使用なら問題はありませんが、動物に飲ませたりするのは絶対にやめましょう。
消臭効果については微生物系消臭剤と同じくらいで塩素系消臭剤(二酸化塩素系、次亜塩素系)よりは一段落ちる印象です。
日常生活で安全に弱~中程度の臭い対策を行うのに向いている種類だと思います。
おすすめ商品
ヒバ、ヒノキ、竹、杉などの樹木から亜臨界抽出法で抽出したエキスを100%使用。
上で説明したフィトンチッドを利用し、悪臭を分解して細菌の増殖も抑える仕組みです。
パッケージは浄化の森スプレーですが、中身は有限会社アイ・ジャパンの亜臨界水SX-300(今は亜臨界水フィトンウォーターかも)です。俗にいうOEM商品。
その他の植物性消臭剤商品としてはニオイノンノなどが有名です。
参照