ピューラックスのシーン別推奨使用濃度(希釈倍率)と注意点

シーン別の推奨使用濃度

ピューラックス 用法・用量

ピューラックスを使用する際は用途に応じ水で薄めて使用します。この時使用する水は水道水で構いません。

ピューラックスのキャップは1杯あたり約10ml入るので目安にすると分かりやすいかと思います。その他、500mlのペットボトルの蓋(5~6ml)も目安にしやすいです。

飲用水の消毒

水量に対して遊離残留塩素を0.1mg/L(結合残留塩素の場合は0.4mg/L)以上保持するよう投入、注入、滴下して消毒殺菌。

遊離残留塩素は次亜塩素酸や次亜塩素酸ナトリウム、結合残留塩素とは遊離残留塩素とアンモニアが結合して生成されるモノクロラミンやジクロラミン、トリクロラミンです。殺菌効果は遊離残留塩素のほうが高く、残留性は結合残留塩素のほうが高いとされています。

目安は水量1000リットルに対し本剤約17mLを投入、注入、滴下し、残留する塩素濃度を測定確認した後に本剤の量を増減。

水泳プールの消毒

プールの水量を測定し、残留塩素を0.4mg/L以上保持するよう投入、注入、滴下して消毒殺菌(残留塩素の濃度範囲は0.4mg/L以上1.0mg/L以下)。

飲用水の消毒と同じく、目安は水量1000リットルに対し本剤約17mlを投入、注入、滴下し、残留する塩素濃度を測定確認した後に本剤の量を増減。

遊泳用プールや学校プールでの残留塩素の測定頻度は少なくとも毎日午前1回午後2回以上。測定場所は矩形のプールでは、プールの対角線上のおける等間隔の3ヶ所以上の水面下20cmおよび循環ろ過装置の取入口付近が原則です。

シーツや衣類、おしめなどの漂白を兼ねた消毒

本剤の100倍~200倍液(水1リットルに対して本剤約10ml~約5ml)へ浸して漂白、消毒殺菌。

消毒だけではなく漂白も目的としているので通常よりもやや濃い濃度での使用となります。

まな板や器具・ふきんなど、一般的な消毒

本剤の300倍液(水1リットルに対して本剤約3.3ml)へ対象物を洗浄、水洗いした後10分間浸して消毒殺菌

飲食器具や医療器具、衣類など一般的な消毒は、対象の汚れを取るための洗浄・すすぎの後、0.02%(300倍)液に10分間浸してから水洗いして乾燥が基本となります。

ピューラックス まな板器具ふきん等の消毒

画像出典:オーヤラックス

便所・便器の消毒

本剤の25倍~300倍液(水1リットルに対して本剤約40ml~約3.3ml)にて洗浄もしくは拭いて消毒殺菌。

汚れがたくさん付着して有機物が多い環境での使用が想定されるため、25倍という高濃度から300倍の一般的な濃度での使用まで推奨使用濃度が幅広いです。

ノロウイルスなどの薬物に対する抵抗力が高いウイルスの不活化目的以外であれば、消毒対象を洗浄・水拭きの後、0.02%(300倍)液に浸したふきんで拭き取り、10分後に水拭きの手順で問題ありません。

ピューラックス トイレの消毒

画像出典:オーヤラックス



ノロウイルス対策 汚物の処理(床や壁の消毒)

吐物を静かに拭き取った後に本剤の60倍液(水1リットルに対して本剤約16.9ml)にて拭いて消毒殺菌。

ノロウイルスやロタウイルスは薬剤に対する抵抗力が高いため高濃度の0.1%(60倍)液を使用します。

吐物が飛び散らないように静かに除去してから60倍液で浸すように拭き10分後に水拭き。処理に使用したペーパータオルなどは廃棄用ポリ袋に入れ60倍液を袋の中に十分に注ぎ消毒します。同じように処理に使用したバケツなども洗浄後に60倍液を使って消毒してください。

ピューラックス ノロウイルス対策

画像出典:オーヤラックス

新型コロナウイルス対策

中国武漢市に端を発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)対策についても記載しておきます。

新しいウイルスなので現状は性状特性が明らかではないので確かなことは分かりませんが、エンベロープを有するウイルスなのでアルコールや次亜塩素酸で十分不活化は可能だと思われます。

手などの皮膚の消毒を行う場合には、消毒用アルコール(70%)を、物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が有効であることが分かっています。また、医療器具の消毒にはグルタラール、フタラール、過酢酸も有効です。 


家庭用塩素系漂白剤は、主成分が次亜塩素酸ナトリウムであることを確認し、濃度が0.05%(製品の濃度が6%の場合、水3Lに液を25㎖)になるように調整してください。

引用:新型コロナウイルス感染症について|厚生労働省

グルタラールやフタラール、過酢酸、製品名ではデントハイドやディスオーパ、アセサイドなどは劇薬なので医師や歯科医師が主に使用するものです。

次亜塩素酸ナトリウムは、0.1%(60倍)と0.05%(120倍)という2つの濃度が示されていますが、濃厚接触者が使用した使用後のトイレなどは0.1%液、飛沫感染や接触感染予防のために手で触れる共用部分(ドアの取っ手やノブ、ベッド柵など)の消毒には0.05%液が推奨されています。

個人的には300倍液でも十分不活化できると思うのですが、まだ不明な点が多いウイルスなので安全マージンを取ってより高濃度での使用を推奨しているのでしょう。

希釈液で対象を拭いた後、10分置いてから水拭きが基本的な手順となります。

マスクが品薄状態なので布マスクを洗いながら使用している方も多いと思います。布マスクの消毒は0.05%(120倍)液に10分浸け置きした後に水でもみ洗いして乾燥という手順で大丈夫です。浸け置き時間が長すぎると生地が傷んでしまうので注意してください。

※家庭用塩素系漂白剤(ハイターなど)を使う場合、製造時の濃度が6%でも保存期間が長ければ3%付近まで濃度低下している可能性もあります。製造日の記載がない製品を使う場合は注意しましょう。



次亜塩素酸ナトリウム6%希釈倍率表

最後に、日常シーンや医療の現場でよく使うであろう使用濃度の希釈倍率表を記載しておきます。ピューラックス以外の次亜塩素酸ナトリウム6%の製品も同じなので希釈時の計算の参考にしてください。

希釈倍率60倍(0.1%)
1000ppm
120倍(0.05%)
500ppm
200倍(0.03%)
300ppm
300倍(0.02%)
200ppm
500倍(0.012%)
120ppm
希釈液1L約17.0ml約8.5ml約5.0ml約3.3ml約2.0ml
希釈液2L約33.3ml約16.7ml約10.1ml約6.7ml約4.0ml
希釈液3L約50.0ml約25.0ml約15.1ml約10.0ml約6.0ml
希釈液5L約84.0ml約42.0ml約25.1ml約16.7ml約10.0ml
ppm(ピーピーエム)

「%」と同じように濃度を表す単位。「ppm」は100万分の1、 「%」は100分の1の意味で、1%をppmで表すと10000ppmになる。 

参考にさせていただいたサイト

>ピューラックス|株式会社オーヤラックス

>新型コロナウイルス感染症について|厚生労働省

>新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ|国立感染症研究所