重曹の量と効果
重曹はたくさん使えばそれだけ効果が上がるというわけではありません。大事なのは用途に合わせた適量を守るという事です。
たとえば重曹水をつくる場合、多量の重曹をいれても、ある一定の量以外は溶けずに残ってしまいます。重曹は8%で飽和状態になってしまうので100ccに対して8g以上の重曹をいれても無駄になるだけだという事です。
これは料理や入浴、そのまま飲む場合等でも同じです。用途に応じて適量を使いましょう。
重曹はアルカリ性なのに安全?
重曹はアルカリ性といっても重曹水等の水溶液にすればpH8.2くらいの弱アルカリ性です。
中性域に近いアルカリ性なので肌が弱い人でも問題なく使う事ができるでしょう。
ただ、気をつけて欲しいのは重曹を熱湯で溶かしたり、煮立たせて使うケース。
このような使い方をした場合はpHが一気に10~12程度の強アルカリ性域に上がります。このくらいの液性になると刺激も強くなってきますので、手袋をつけての作業をおすすめします。
水溶液中の水素イオン濃度を表す指数で「ピーエイチ」や「ペーハー」と呼ばれています。
水溶液は基本0~14の数値の範囲に収まり、7付近を中性、7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性となります。
液性 | pHの範囲 | 身近な物質例 |
酸性 | pH < 3.0 | 塩酸、赤ワイン、コーラ |
弱酸性 | 3.0 ≦ pH < 6.0 | 醤油、ヨーグルト |
中性 | 6.0 ≦ pH ≦ 8.0 | 純水、牛乳 |
弱アルカリ性 | 8.0 < pH ≦ 11.0 | 重曹、セスキ炭酸ソーダ |
アルカリ性 | 11.0 < pH | キッチンハイター、石灰水 |
※pHの境界は明確に定められていない為、雑貨工業品品質表示規程を例にする
重曹の種類による違い
重曹には薬用、食品用、工業用、飼料用等さまざまな種類がありますが、それぞれの種類による違いは品質規格です。
たとえば薬用は”溶液は無色透明で塩化物0.04%以下”、食品用は”加熱する時アンモニア臭を発しない事”など。
食用にした時の安全性によって決まっていると考えてよいかと思います。
薬用なら食用を含む全てに使える、食品用もほぼ同様(敏感肌への使用は薬用推奨)、掃除や洗濯など食用以外なら工業用でもOKといった感じです。
このようなグレードによる違い以外にも、商品によって使用感がずいぶん異なります。
しっとりした重曹やサラサラした重曹など、色々な重曹を使う事で用途にぴったりなものが見つかると思います。
薬用
日本薬局方(厚労大臣が定めた医薬品の規格基準書)の重曹です。
胃薬として販売されているものなので、料理や入浴剤など、食べたり体に直接触れたりするものにも安心して使う事ができます。
食品用
食品添加物規格の重曹でコストパフォーマンス抜群。
たっぷり5kgのビッグサイズなので、料理や掃除だけでなく野菜のアク抜きや鍋の焦げ落としなど、さまざまな用途で量を気にせず使えます。
重曹の保存について
重曹は水に溶けやすい性質なので塩や砂糖などと同じように湿気で固まりやすくなります。
保存方法として適切なのは冷暗所で密閉する事。
次に使用期限ですが、これは用途に応じて異なります。
重曹は長く保存していると性質が徐々に変化します(分解によってアルカリ度が上がる)。
アルカリ度が上がると洗浄力がアップするので、掃除や洗濯には問題なく使えます(実質無期限)。
ですが、アルカリ度が上がる事で当然皮膚や肌への刺激は強くなるため、飲用はもちろんの事、人体への使用はやめておいた方がよいでしょう。
性質の変化は見た目では全く分かりません。ある程度の基準を決めて、あまり古くなったものは使わないようにするのが正しいと思いますが、味見をしてみて重曹に苦味やえぐみを感じたら変化していると考えてよいと思います。
重曹に関する数ある疑問点の一部を紹介してみましたが、皆さんの重曹に対する知識は間違っていなかったでしょうか。
重曹はコストパフォーマンスも高く安全性も十分なのでさまざまな用途で使われていますが、使い方等は知っていても大前提となる重曹の知識を知らない人は意外と多いです。
重曹生活を送る上で今回の知識が少しでも役に立つ事を願っています。